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2014年10月

2014年10月 9日 (木)

~『主体性は教えられるか』感想~やる気がない人にやる気を出させることはできるのか

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 岩田健太郎著。『主体性は教えられるか』を読み終わりました。
 最近、岩田健太郎さんの本を中心に読んでいます。

 以前『神戸大学 感染症 TBL』という医学生への講義録を読んで以来追いかけています。この人のお話はこういう書籍化用に書かれた文章より、対話系のもののほうが面白いですね。それはぼくも、あと作者の岩田さんも、細々とひとり思索を深める内省喋るより、予想もつかない発想がダイナミックに生まれる対話を好むからではないかと思います。後半に不満点と題してそこに関するぼくの考えを書いておきました。気が向いたら読んでください。そこまで文句タラタラというわけではないと思います。いつものてれびん思考です。

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~『主体性は教えられるか』とはどういう本なのか~

 著者である岩田健太郎さん、医師にして神戸大学の感染症学の教授、の経験を元にした『主体性とは何か』ということを書いた本です。岩田さんのところを回ってくる研修医(医師の見習いのようなもの)の中には主体性が感じられないものがいる。ところで自分たちは彼らに主体性を持てという。しかし、そもそも主体性とはなんだろうか。
 以上の思考の流れを研修医との経験、および教育論などを引用して『主体性とは何か』の考えをまとめていくものです。最終的には、岩田さんの趣味であるサッカーを用いて主体性のアウトラインを描きだす構造になっている。

~感想~

 読み終えてどうしても獏とした印象を与えてしまうところもある。それは本書の構成上仕方のない部分かもしれない。
 本書は非常にわかりやすい。『主体性とは何か』を考えたことがない人でもわかるように描かれている。ここには功罪があると思うのだが、それは後半で言おう。

 この書籍は岩田健太郎さんの思考を辿っている。そういう意味で言うなら(物凄く勝手な意見だが)これは書籍としては未熟なのかもしれない。例に挙げられている事例も少なく根拠に乏しい(と感じられる)部分もある。そういう意味ではブログ的なものに近いのかも知れない。
 人によっては、これではダメだ!と貶すかもしれない(ぼくの感想もそうとも見えますね^^;そんな気はあまりないのですが…)。
 ただ、これも主観的な感想であると言える。実際、この書籍とアルビン・トフラーの『富の未来』の何が違うのかといえば、そんなに違わない。

 現実の出来事を観察し、それに対して筆者の意見を言っている。
 この構図だけでいうならば、じつはそれほどに差があるとは言えない。
 違いと言うなら『富の未来』で挙げられている参考書籍は3桁は軽く超えていることだ。その膨大な事例から推測するに現実は今後このように変化していくということが『それらしく』描いてある。

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 有象無象の意見と何が違うのか、といえば『らしさ』が違うと言えるのかもしれない。
 だから今まで岩田健太郎さんを追いかけていないひとは、「こんな本ダメだ」というかも知れない。ブログとあまり変わらないのではないか、と。

 しかし、岩田さんの書籍を多少追ってきた身からすれば、この本はいい本であると思います。この方の著作というのは自己リンクを貼っているようなものだとぼくは見ています。
 根拠に乏しいと思われた意見も、別の書籍で詳細に解説をしていたりする。木を見て森を見ずではないが、岩田健太郎書籍というのは一つ一つを個別に評価するのではなく全体を通して「岩田健太郎」を評価する構造になっているように見えます。
 ぼくたちは普段書籍を読んでいるつもりになっています。しかしそれは一つの読み方に過ぎないと思います。
 じつは書籍を通して、著者である「作者」を読まないと意味がわからない場合がある。岩田健太郎さんはそういう作家(存在)の一人なのでしょう。
 だから、はじめてこの本を読む場合は別の本も同時に読んでみることをオススメする。ぼく個人からすれば『神戸大学 感染症 TBL』という書籍を一押しする。

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 医学部の学生に向けた講義を収録した書籍である。医学に興味がないという人もいるかもしれない。ただ、この本はそれでもオススメをしたい。
 医学の内容など読み飛ばしてもらっても構わない。おそらくわからなくても「へ~」と思っていればいいです。大事なのは、この学生の講義を通して岩田さんの「考え方」というのを伝えている点にあります。

 この「考え方」は非常にクリアなものです。また、書籍を読むだけではわかりづらい熱量が伝わりやすい。
 学生と教師の対話です。一度言ってわかる学生などは多くありません(言い切っていいかはわからないけれど、ぼくは少なくともそうです…)。だから本書をおすすめします。

 岩田さんの言っていることを「わかったつもり」になることは出来るかもしれません。でも、現実に再度問われたとき「わかってない」から答えられない。読者が躓くときは、学生が代わりに躓いてくれる。学生が「あ、そっか」という時は、読者も「あ。そっか」という時が多い。同じことを繰り返し伝えているということでは、この本は教育的に正しい本なのではないかとぼくは感じています。
 同時に「岩田健太郎」の入門書としても適切なのではないかと思います。
 多少高い本なので買ってくれとは言えないですが、図書館などで取り寄せて読んでみてくれてもいいのかもしれないと思います。
 
~不満点~

 内容自体はとても面白い内容だったけれど、不満がなかったわけではない。それは『面白みが足りない』という点に起因する。この面白みというのは、いかにも漠然としている。面白さが何に由来するのか明確にしないといけない。何を面白いと感じるのかは人それぞれによるので一概に言い切れるものではない。ただ、具体的な事例というのは幾つか挙げられると思います。

 ぼくが岩田さんの本を読んで思うのは、この方の文章で面白いのは『対話』と『現場のリアリティ』に関してである。
 本人が著作でかたっているが、この方は現在バリバリに働いてらっしゃる臨床医です。その思考は「役に立つものは、役に立つ」というプラグマティズミックな視点にたっている。そういう性向をもっている著者に語らせたら、実際に起きた出来事がいちばん面白かったというのはよく分かることである。また、対話というのは相手の反応にリアクティブに返していく行為です。他者の内面を追求し、理解しようとする態度です。言い方を悪くすれば、目の前の人間から得られるものはすべて手に入れよう、しゃぶりつくそうという行為とも言えます。Why notと問いかけることで、相手の内面を探っていく。異なる事象・出来事にたいする「なぜ」という問が岩田さんの中には常にあるのかもしれない、と読み手のぼくは思った。
 そしてそこから考えると、一人がたりの文章はどこか密度が薄い感覚がある。

 いま書きながら考えていてわかった。わかりやすすぎるのだ。
 本書でも岩田さんは言っている。わかりやすいことが決していいものとは限らない、と。実際ぼくも記憶に残るのは東浩紀さんの情報論や、大澤真幸さんの書籍だったりする。言葉が(それなりに)慎重に選ばれ、それでもまだ「わかりにくい」内容こそが記憶に残る。読みながら作者の意図を想定しないと理解できない。
 これは池上彰さんへの批判も同様のものが挙げられているように思う。ぼくが以前見かけた中に、池上彰は物事を簡単にしすぎるという批判があった。この言葉の意味するところは「わかった気にさせてそれ以降を考えさせなくしている」という批判であるとぼくは理解している。



 池上彰さんも岩田健太郎さんも、その点はとても似通っている。お二人共様々な知見に触れており、とてもクリアな思考をしている。他者に対して話す場合、相手がもっともわかりやすい段階まで下りてくることができる。だからこそ、聞き手は分かったふりができてしまう。その先への何故という疑問を生みにくくしてしまっているのかも知れない。

 わかりやすい言葉で物事を語ってはダメだ。どこかで聞いた気がする。忘れてしまったが、その言葉の意図はこういうところにあるのではないかと思います。

 ただ、それでもお二人の在り方が悪いのかというと、そうでもないと思います。
 難しくなったと思って勉強して諦める位なら、まず簡単なところから知ればいいという考え方もあるでしょう。「なぜ」と考える思考がもっとも得られるものが多いのではないかとぼくは感じます。しかし、すべての物事にそれを行うことはできない。また現実の出来事のアウトラインを把握するのはそれでは難しい。そういう時に「わかりやすい言葉」で教えてくれる先達ほどありがたいものはない。
 それぞれには、それぞれの役割があるのだと思います。

~総評~



 わかりやすくて物足りない部分などもありましたが、面白かったです。主体性とは何かを考えたことないなら、この本をきっかけに考えてみるといいのではないかと思います。




~ラスト感想:で、結局主体性って教えられるの?~
 無理なんじゃないかなってのが、ぼくの感想ですね。
 少なくとも体系的に、言葉で説得するのは難しいかなと。
 できることは熱量に巻き込まれること。あるいは可能性を閉ざして、愚直に物事を続けることかな。
 前者は偶然によるし、後者は選択による。
 この両方を今ぼくが説明するのはやめておきます。

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 後者に関しては『コクリコ坂』などを題材に何度か書いているから、(この記事が所見というひとは少ない気がするので)読んだ人もいるかもしれません。
 まぁ、そんな感じ。

『タイバニ好きにオススメしたいイン・ザ・ヒーロー』~めちゃくちゃ面白かった~

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~イン・ザ・ヒーローってどんな話?~
 唐沢寿明主演の演劇映画です。主人公はアクション俳優。日本ではアクション俳優とは言わないで、アクターって呼ぶのかな。着ぐるみに入ってアクションをしたり、殺陣で斬り殺される役をやったりする人です。

 ブルースリーに憧れてアクションスター目指して演劇の世界に入り早数十年という「おっさん」が主役の映画です。夢はブルースリー。でも現実は戦隊ヒーローのなかの人しかやれない。

 本編のなかでも言っていましたが「アクション俳優を目指すやつは必ずスタントマンになってしまう。日本ではアクション俳優にはなれないんだ」。こういう諦念を抱いているおっさんが主人公をやっています。



~あらすじ~

 ヒーローの中の人「イン・ザ・ヒーロー」をやっている主人公(以下リーダー:戦隊モノのリーダー役、インスタント集団のリーダーをやっているからリーダーと呼ばれている)はある日、自分の出演している戦隊番組の映画のゲストの敵役に抜擢されます。このことに喜んだ彼は、別れた奥さんや子供に久しぶりに名前が出るぞと連絡をします。しかし、それは叶わない。売り出し中のイケメン俳優一之瀬涼(以下:リョウ)が、本来リーダーがやるはずだった役をやることになる。事務所のコネで役を奪われます。

 これがこれから互いに意見をぶつけ合わせることになる二人の出会いでした。日の当たらない影の仕事をするリーダーと、常に衆目に晒されている陽のあたる道を歩くアイドルのリョウ。互いに異なる信念を抱くおっさんとイケメン。

 何十年も現場とともに歩んできたリーダーと、ひたすらトップを目指して周囲を見てこなかったリョウでは考え方や価値観が異なります。現場に支えられている自覚を持てという(納得いくがおっさんくさい)リーダーと、そんなものをに振り回されずさらに上に行きたいと現場を顧みないリョウ。ひとつの映画の製作過程を通して互いに知り合って行くのが、物語の前半です。

 後半では(リョウがオーディションを受けている)ハリウッドの映画を通して、今作のテーマ「イン・ザ・ヒーロー」の意味が問われます。
 詳しくは劇場で見てもらいたいですね。(まぁ、後半の感想でネタバレする予定ですが)



~タイバニとの構造的類似点~

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 この映画は、いろいろ面白いところがあるのですが、なにより皆が楽しめるのは「酸いも甘いも知った上で夢にしがみついているおっさん」と「才能にあふれて格好いいイケメン」の構図ではないでしょうか。単純な二項対立に見えるこの構図ですが、本編後半にいくと崩されることになります。現実で生きるってのは、いいこともあれば悪いこともある。構造的には当たり前の流れですが、二時間の作品にまとめ切ったのは素晴らしいことです。上手い。

 タイバニもそうですよね。はじめは格好悪いおっさんの虎徹さんがイケメンのバーニーに絡んでいくうざい構図です。しかし関係が進むにつれて、互いの背景や考え方がわかってきてバーニーからは尊敬を、虎徹からは信頼を与える関係ができる。ある種、精神的な師弟関係の構図ができあがります。この関係性に僕なんかは「萌える」ところがあるわけです。

それと同じことがイン・ザ・ヒーローでは起こります。タイバニでは6時間かかった内容を一時間にまとめきっているので、この「萌え」に共感する人は是非に見に行くといいよ。めちゃくちゃ楽しいです。

また、タイバニの見所のひとつに「ヒーローとは何か」という虎徹さんのテーマが隠れています。おっさんになっても、力を失っても「ヒーローを目指す」。このおっさんの純情に涙した人も多いはず。

 本作でも、その構図は取られています。
 タイバニみたいにヒーローが現実に居る世界ではありません。しかし、現実世界にもヒーローはいます。少なくとも主人公のおっさん、リーダーはその存在を信じている。
 本作の重要シーンで語られるリーダーの慟哭はホントに胸に来ます。
「誰かがやれるって示さなければいけないんだ!そうじゃなきゃ、夢が持てないじゃないか!」という趣旨のセリフ。どこで語られるのか、ぜひ劇場で見てもらいたいです。



~感想~

 おっさんがホントに格好よかったです。
 タイバニと類似しているってかいたけれど、ホントに構造としてはマンマ同じです。いやー、面白かった。
 ぼくが劇場で見たときは三人しかいなかったんですが、残念。あれは売れて欲しいなあ。とてもいい映画ですよ。
 真新しいことはないです。構造も、ここまで書いたのと同じ。


 べつにタイバニ見ればいいんじゃね。って感想もあるかもしれないけれど、それでもこれは見ておいたほうがいいと思います。
 なぜかというなら、この物語のリアリティ度がホントに高いからですね。
 現実にはこのおっさんやイケメンのように「夢は叶う」なんてことは、ない。本作でもそれはわかって作っているんですよ。
 知り合いから聞いた話なんですが、殺陣をやっているひとって、ホントに報われないらしいですね。太秦ライムライト?だっけ、あの主役やっている人とかは、ホントに例外らしい。殺陣をやっていて陽のあたるところに出れない人が無数にいる世界。しかし、本作の素晴らしいのは、そこで「でも!」と叫ぶ人がいることですね。
 先程もかいたけれど、「でも!アクションには先があるんだって示さなければ、後ろにいる奴らが夢をモテないじゃないか。だから俺はやる。ブルースリーに俺が憧れたように、俺も誰かのヒーローにならないといけないんだ。」(意訳)というリーダーのセリフは涙なしには見られません。こういう必要だけれど報われない仕事に夢を与える誰かが必要というのが、普遍性をもっているから感動するんだと思いますね。だから先ほどの言葉に続いて「リョウ、お前もだれかのヒーローになれよ」ってセリフがもう格好良くて仕方ない。
 いやはや、ほんとに素晴らしかった。繰り返すが、素晴らしかった。
 みんな見ようぜ。めちゃくちゃ面白いからさ。ほんと、明日にでも見てください。


 細かいところを言うなら、全員役者なんですよね。だから「現場の空気感」は知り尽くしている。だからなのか、日常シーンがとてもリアリティがありました。ああ、映画の裏ってこうなっているのか、ととてもリアルに想像できる。
 ぼくこれ見ながらアイマスを思い出していたのですよ。
 やっていることは同じで、真逆の物語だなって。


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 アイマスというのは、トップアイドルになるという夢を追いかけるヒロイン達の友情と絆と夢の物語なんですよね。彼女たちがトップアイドルを目指す理由ってのはいろいろあると思うのですが、そのひとつの理由に「アイドルになれるって夢を叶えることを後ろに示す」というのがあるようにぼくは見てます(アニマスとムビマスを見ただけの感想なので、ガチファンからは違う!と怒られるかもしれないですが^^;)。
 まぁ、アイマスが視聴者の共感を産んだひとつの理由にそういう「夢を与える存在」が普遍性をもっているってのが、ひとつあるように思います。
で も、アイマス作品(少なくともアニメ)では、現場の存在というのはあまり描かれることはないように思えます。それは、現場を描けば視点の焦点がどっちらかるということがひとつ理由に上がるのではないかな。また、輝く存在たるアイドルの泥臭い側面を描くのは、それはそれで夢を壊すことになりかねない。彼女たちはステージの裏でも表でも「アイドル」で有り続ける。この一貫性というのが、アイマスの物語の構造にあるんじゃないかなと思います。


 そこで、イン・ザ・ヒーローはその逆。その光り輝く存在を支える「影」の夢を描いている。だからこそ、現場にリアリティがあればあるほど、後半が盛り上がるようになっています。
面白いからまぁ、見てみてください。
もちろん、不満点がないわけではないですよ。最後の最後の「世界初」の殺陣のシーン。お話の設定とその表現描写が矛盾する(たぶん矛盾していると思うけれど、、)と、ちょっと萎えないわけでもない。
とはいえ、それ以外はほぼパーフェクトに面白かったです。
今年の映画ベストに入りそうな勢いなのでみんなみるといいよ。ほんとに。

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