天才をひきずり落とす凡人のテンプレートとは―拝啓アインシュタイン読んでふと思ったこと―
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評価 1
個人的評価 2
天才ってのは理解できない生き物として描かれることが多い気がします。「おまえってなにを考えているかわからない」というのは、「天才」キャラにつきまとう称号のようなものです。ぼく個人はほんとうの意味で「思考のぶっ飛んでいる」存在ってのが好きなのですが、そのはなしは別のところに譲りましょう。
この拝啓アインシュタインは「天才と凡人」の恋の物語である。はなしとしては「ああ、おもしろいね」というくらいなのだが描かれている表現から思いついたことがあるので書いてみます。
ぼくは少女漫画を読んでいると「天才」のために孤立する。という描写をよく見かけます。
一番在るパターンはそのビューティーさのために「遠巻き」にされてしまう場合です。桜蘭高校ホスト部なんてのは、そのへんを逆手にとった作品で興味深いはなしだったりする。あまりの「美しさ」のため女子から一定の距離を置かれる性質を利用した「ホスト部」。つまり「だれをも平等に愛する≒だれをも特別に愛さない」性質をうまくもちいた作品です。そんな環がハルヒに恋をするのは、彼女が「外れた」存在だからってのはそういう構造を考えてみると納得が行く側面があります。とはいえ、今回はホスト部の話では無いのではここまでにしておきます。ホスト部はいろいろ新しい側面のある作品だとは思うので、機会があればまた取り上げたい。
次にあるパターンは変わっているから「遠巻き」にされること。これは少年漫画でもよく見かけるかたちですね。これの多くの場合は「コミュニケーションがとれない」ことに由来する。ぱっと思い出すのは「そらのおとしもの」の守形先輩
↑このひとですね
このひとなんかは「この世界には俺たちの知らない新世界があるんだ」といって周囲をどんびきさせている人物。じっさいはこのひとの見ているものが正しいってのが天才性の保障になっています。
ほかにもいろいろなパターンはあるにせよ天才というのは孤独になりがちです。
(個人的には、「理解されてしまう」と天才の天才たる保障がなくなってしまうから「孤独」という属性を持っているのかなと考えているのだけれど、どうなのだろう?ぼくとしては「理解されうる存在はただの天才だよね」って思ってしまうのですが、それもまた別の機会)
少女漫画なんかでは「孤独な天才」をどうやって「恋愛」にもってくるのかが勝負なわけですよね。言い方を変えると「どうやって堕落させるか」がしょうぶになる。精神的に異なる地平にいる天才を凡人たちの泥沼に引きずり込まないと勝負ができないんですよ。少女漫画のヒロインたちはそれを「成功」させて、その成功自体を男の子との絆にしてしまう場合が多い。
この漫画もそうなんだけれど、パターンとしては
- 天才は孤独
- そんな天才に近づいていくヒロイン
- あるとき天才の秘密を知る(弱み・人間らしさなどいろいろある)
- 天才がヒロインに目を向ける
- ハイ堕落決定!
- ヒロイン「しめしめ網にかかりやがった(にひひ)」
というパターンですよね(こう書くと少女漫画のヒロインこわいなぁ(笑))
じっさい、ヒロインが「にひひ」とか笑うわけではないけれど、やっていることはこういうことです。
天才の立っている孤独の地平からヒロインのいる「恋愛の地平」へ引きずり込まれる。まあ、ある種の「未知との遭遇」です。
この視点から眺めてみると、この漫画は「凡人」の視点から天才を引きずり下ろすテンプレートのような話に見えたんですよね。
べつに大したこと無い話なんだけれど、おお~、とか思った。
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