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2012年2月 9日 (木)

「勇者」の物語を支え承認し続ける「王」についてー「運命に身を投じていくものたちの物語」ー勇者王ガオガイガーの長官がとても面白いですー

この間のピングドラムとガオガイガーの護少年に関するLDさんの記事が興味深かったので勇者王ガオガイガーを見なおしてみるかと、毎日ガオガイガーを見なおしています。

最近バンダイチャンネルでガオガイガーが追加されたので見たいときに見たいデバイス(iPhoneで見ることが多いですね)で見ることができます。いやー ホントいい時代になったものです。

で、ガオガイガーの話なのですがこれがすごく面白いです

ちょっとどういうふうに面白いか話をしてみようと思います。少し長い話になるのですが興味があれば読んでみてください。

さきほどの『今何処』のLDさんの記事では護少年が話題になっていたのですが、今回見なおしてみるとぼくは長官が気になりますね。まだ5話くらいまでしか見なおしていないので明言はできないのですがこの長官がなぜ長官足りえるのがひどく納得できる気がします。

今回はその話をしたいのですがそのまえに少しガオガイガーの話をしてみましょう。

ガオガイガーというのは10年前にある少年、のちに護(まもる)と名付けられる赤ん坊が宇宙から飛来してくるところから始まります。この護君はある使命を帯びて地球にやってきたのですがそれは物語が進んでいくと同時に明かされていきます。物語の本編はそれから10年後。つまり護少年が10歳になるところで開始します。護少年はその10年の間自分を育ててくれた血のつながりのない父母の間で、これでもかと愛情を注がれながら普通の少年としてすくすく成長します。じつは彼が平和な生活をしていた裏では本編で勇者として語られる獅子王凱が宇宙飛行士として宇宙に行き、また生死不明の重体になってしまうなどの事件もあるのですが、まあそんなこととは関係なく護君は成長をしています。ちなみに物語本編自体は人の心の闇にとり付きひとを怪物と化してしまうゾンダーという謎の宇宙生命体と人類の砦たるGGG(スリージー)との戦いを中心に描かれていきます。勇者である獅子王凱はゾンダーとなってしまった危険な怪物と戦い、護少年は浄解という能力を駆使してそのゾンダーとなった人間を元に戻すプロセスで物語は進行していきます。物語の進行と共に護少年が地球にやって来た理由やゾンダーとは如何なる存在かが明かされていく。派手なアクションや過剰な表現で記憶されがちな物語なのですが、いま見ても色褪せない熱量を秘めた作品だといえるでしょう(解説終了)

で、ここまで全く語られていない総帥の話

実はこの総帥、獅子王凱や護少年そしてその他のスタッフと違って特殊な技能や能力を有していません。かれの最も活躍する場面といえば以下の動画にあげられるような

 

「長官っ!ファイナルフュージョンの承認要請が来ていますっ」

「よしっ!ファイナルフュージョン 承・認!」

「了解!ファイナルフュージョン承認!

プログラムッッ ドライブ!!」

という一連のプロセスに代表される行為です(この類型はいくつかあるのですがそれはユーチューブやニコニコで検索してもらうと結構出てきますw)

とにかくここで言いたいのはこの総帥が一見「ただ承認を出すだけの存在」に見えるのに毎回毎回かれに承認を要請するプロセスがなぜ必要かということなんですよね(上記動画のコメントを見ていても個人的に興味深い発言がちょこちょこあります。まあ、このへんの話は今回の記事のラストまでいくと少しわかるかもしれません)。

ぼくはこれ(=なぜ長官が承認を出すのか)が昔からの疑問でした。(まあ、じつは見ていたといっても飛ばし飛ばしだったり外出していて見れなかったり、といろいろあってきちんと順番通りに見るのは今回が初めてでした。ちゃんと見てれば今の歳まで疑問を引きずらなかったかもしれないけれど当時は中学生くらいの頃なので・・・うん、仕方ないですね(汗)朝飛び出したら夜まで帰って来なかった年頃です)

そこで今回見なおしてみると「おお~、なるほど!長官すげぇぇ!」と(勝手に)納得がいったのでメモのつもりで記事にして見ました。

どういうことかというとこの長官は一種の「王」なんですね。それもただの王様ではなくてある種「理想の王様」のひとつなのだということです。いきなり概念的な話をするなと言われるかもしれませんが、ちょっとまって話を読んでみてください。ここで理想というのはどういうことかというと「正しく運命に選ばれた存在」と言い換えられるかもしれません。

ちなみにこういうとぼくはアルスラーン戦記のアルスラーンや十二国記の延王などを思い出します。つまり「公」に準じた結果「道」を得て王たることを許された存在ですね(「道」を得て「公」に準じるという逆もある・・・かな?)。

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もちろんガオガイガーの物語は「勇者」の物語であって「王」の物語ではありません。だからこの長官の王たる所以が描きこまれることは無いのですが(いえ、先のほうで描かれるかもしれないけれど一応ぼくはみたこと無いのでそう言っておきます)、いま見ている部分でもその片鱗が感じられます。

例えば、この長官は大企業の総帥でもあるのですがそのような地位をえている人間にしてはあまりに「自然体」な存在です。これは3話くらいだったと思うのですが護少年が政府機関の関係者に囲まれて怯える話があります(そのときはギャレオンという巨大なライオンが護少年を助けに来てくれる)。ギャレオンは政府の黒服から護君を助けてくれるのですが彼を連れてGGGまでいってしまう。護少年からすれば黒服の男達から逃げられたと思ったら今度は知らない土地でまた変な大人達に囲まれてしまう。怖いわけですよ。だからギャレオンの口のなかで怯えて出てこようとしない。そこで出てくるのが長官です。かれは手を広げて「自然な笑顔」を浮かべながら護くんに話しかけます。

「わたしたちは君のことが知りたいだけなんだ怯えなくてもいいよ」と、そこまでに長官のように護くんに話しかける大人はいなかったんですよね。GGGのメンバーだって「化物を人間に戻す奇妙な少年」に警戒心を抱いている。その中で先陣を切って護くんに話しかける。普通だったら打算の混じった行為なのかなとは思うのですが、おそらく彼はそういう計算で行動していないんですよね。どちらかと言えば怯える護君の心を感じ取っての行動でしょう。それはその後の話をみているとそう信じることができます。

また長官は頻繁に「計算を無視した決断」をします。先ほどの動画にもツッコミを入れてたひとがいたでしょう。これも一見は「無謀な行為」に見えるのですが、長官が「道」を得た存在だと考えると「当たり前」な行動だと思うんですよね。無謀な決断ではない、と思うんです。

ちょっとその話をしてみましょう。

例えば長官は事あるごとに「長官!危険ですっ!その合体は成功したことがありません!」という言葉に対して「大丈夫だ!!なぜなら凱は勇者なのだから!」という返事を返します(上記動画のファイナルフュージョンの幾つか目ではいままで「そういう行動」を取ってきた長官がホントにそれをやってもいいのか悩むのに対して、逆に周りの人間が「やっていいんだよ!」と長官にたいして『返す』話が入っていますね。これも長官の積み重ねの結果の一つだと思います その話は後述で)。

これはただ言葉だけを追うと「夢見がちなおっさんのたわごと」にしかなりません。でも、そうじゃないんですよ。

これは言葉を補うと

「凱は勇者なのだから(運命[道]に守られている)だから大丈夫だ!」

という言葉だと思うんですね。

というかそう考えないとなぜ長官が自信をもってリスクの海へ足を踏み入れるのかが分からないんですよ。だって人類の命運がかかっているってのにそうそうりすくばっかり犯していられないじゃないですか。

だからぼくはこう考えるんですね

「きっと長官は正道を歩いてきたのだ」

と。

「正道」というのは文字通り正しい道のことですね。たとえば歴史の物語やさまざまな物語をみていると「自らの運命を試す」話が出てきます。

「おれがココで死ぬのならそれはそういう運命だったのだ」

というのはその典型だと思います。

九郎義経などの英雄物語、中国古典の英雄たち。あるいは『BASARA』の朱理などはその類型としての「覇王」としての行動をとっています(予言師に「手相から見るに寿命が短い」といわれると自らの手をナイフで切り開き生命線を延ばし「これでどうだ」と突き返す。これは正道があるが故の裏ともいえる行動だと思います)

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また「運命に身を投げ出す」という話ならワンピースのゾロの話のほうが思い出せるひとが多いかもしれませんね。

3本目の刀を求めて妖刀を手にしたゾロが剣をほうり投げて自らの腕が切れるかを占った話です。

これの20分過ぎのはなしですね。

ここで「正道」というのは「運命に身を投じて、その運命に『そう在る』ことを許されつづけている」状態のことを言うのかと思います。

これって一見「ラッキー」が続いているだけのように見えるのですが、そうではないんですよね。「背負っている重み」が違うんですよ。

言うなればこれは一種の勝負です。

「自分の全存在」 VS 「運命」

という描写されない『何か』との戦いなのだと思います。

その戦いに勝ち残り続けたものこそが「運命の申し子」なのだ、と。

で、長官はこういう趣旨の言葉を言うんですよね。

大丈夫!成功する!!あいつは勇者だから!!!

って。

そういう決断を下せる長官ってのはきっとそういう道を歩き続けた結果に現在を得た王様なんだろうなぁと感じさせるんですね。

あくまで所感なのですがガオガイガーという話はこのように一つ一つをきちんと解体できるように作られている「見事」な話だと思うんですよ。

ちょっと長くなったのですが結論

・・・うんつまりなにが言いたいかというと、みんな

ガオガイガー見ようぜ!

追記

これは偶然なのか狙ったのか分からないのですが、長官が総裁を務めている企業が「宇宙開発公団」というのはすごく示唆に富んだ話だと思うんですね。詳しくは書かないのですが(まあ、そこまでこの関連に知識があるわけでもないですしね)

「宇宙事業」ってのは人類に残された最大の「公的事業」のひとつなんですよね。

このあたりの話はもうすぐ最終回を迎える「ネギま」やアルビン・トフラーの「富の未来」を見るとわかります。他にも宇宙関係の話はいろいろな本で書いてあるでしょう(ちょっと読み切れていないのですが・・・)

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そういう「公」の代表としてこの長官が描かれているのはすごく「面白い」です。

追記2

書き忘れてたのですがこの長官は事あるごとに凱とその仲間たちが勇者であることを肯定するんですよね。ちょっと穿った見方をすると「勇者たる承認」を長官が与えているんです。古来から勇者を認めるのは王様の役目であることを考えるとやっぱり興味深いなぁと思うんですよ

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