優しい世界の幻想 永遠の祝福 PrismRhythm -プリズムリズム- レビュー
Lump of sugerさんのPrismRhythm -プリズムリズム-終了しました。
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個別ヒロイン4人をクリアした後のextraまで終了。
個人的な感想としては、すきですねぇ。こういうの。
この作品は、音楽も絵もよく、個別ヒロインのストーリーも不満のあるレベルではありません。それぞれのヒロインはかわいいですし、主人公もちゃんと男前。
やって後悔することはないと思います。
でも、文句がある人もそれなりにいるだろうというのは予測できます。
この作品を理解するには次の要素を前提にしていることが求められるとおもいます。
それは
優しい世界の物語をえがいたもの
である、ということです。
これを理解していないと、このゲームのストーリーに不満が生まれたり、最後の最後に「意味がわからない!」と思わざる得ない。
実際いくつかのレビューを見てみたんですが、「さいごがなぁ」とかというコメントはよく見かけましたね。あと、ストーリーに起伏が少ないとか。だいたい予想通りの感じです(いままで見たところでは)
まぁ、その感想も当然っていえば当然の感想です。
じっさいこの作品はストーリーの起伏が少ないですからね。君が望む永遠とかと比べれば、起伏なし、といってもかごんではないレベルです。(そのへんが物語の余韻を生んでいるという側面はたしかにあるが……)
ではストーリーの作成に手を抜いているのか。というと、そうではないと思います。作品の中で「謎」と呼べるものは、最後の最後以外存在しませんしね。ご都合主義的な奇跡も起こらない。
読者に疑問を残さないよう気を使って作られていると思います。
では、なぜさいごの「謎」は「謎」のままなのか?
そう考えると、こたえは「謎のままでかまわないから」とおそらくなるのだろうと思います。
ここで先ほどの話に戻るんですが、この世界は”優しい”世界なんです。
差別もなければ、貧困もない。不条理な目に会う人はいないし、夢は必ず裏切らない世界なんです。
人が人に常に優しい世界を描いているんです。
じっさいこの物語で負の感情というのは全くと言っていいほど出てきません。一番それらしいのは、ヒロインの一人銀の「嫉妬」くらいでしょうか。
それだって、わたしたちから見れば「かわいいもの」としてうつるようになっている。じっさい「大好きなお姉さまを取られたくなくて相手に向かってプイッと顔をそむける」程度のいたずらはかわいいものでしょう。
しかし、作中ではそれが「ひどいことをした」となる(銀の中では)。
そのように。すべてがやさしい世界を描いているんですね。
そこで、それを前提に考えていくと、作品が平坦な理由もよくわかる。この辺は天野こずえさんの「ARIA」を思い起こしてくれればいいんだけど、あれと同じなんですね(向こうの方がマイナス方向の感情は描かれているが)。
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やさしい世界では大きな事件なんて起こらないんです。だって主人公は浮気をしない。ヒロインも浮気をしない。悪い人間がいないから、ヒロインがさらわれるなどという事も起こらない。外部の要因による「事件」は存在しない。
これが作品を構成する大きな要素となっているんです。だから事件らしい事件はすべて「内的要因」に限定されてしまう。
でも、ここでもやさしい世界という縛りが効いてきます。
かれらは浮気をしない。泥棒をしない。いじめをしない。そして、いつも相手のことを思いやっている。
だから、事件らしい「内的要因」も「相手のことを思って」起こるしかない。
しかもそこにあるのは疑いとか、怒りではなく、「思いやり」なんですね。それは、物語に起伏なんて産まないよねぇ、ってな感じですね。
ついでにいうと、その「やさしさ」はキャラクターたちにも向いていて。この世界では「彼らの願いはかなう」んです。
それは各ヒロインのストーリーをみていけば分かることだと思うので、あまり語るつもりはありません。
ただ、それはさいごのextraステージをみてもよくわかる。主人公の親友は「父親に認めてもらい」、各ヒロインは「同列にある」。これは「各ヒロインのエンディングもみたい」けど「選ばれなかったものも報わせたい」という願いをかなえる章でもあるわけですね。
だからこそエンディングの最後で「大自然の愛に感謝を」「人の未来に祝福を」ときた後に、「優しい世界に、永遠の祝福を」とくるんですね。
そのようにして構成された世界。そこで、さいごの「謎」について語りましょうか。
これはここまでくれば簡単なことです。
そこまでして描いてきた中でたったひとつだけかなえられていない願いがあるじゃないですか。
そう。主人公の「願い」です。
主人公は各ヒロインのルートで自分の願い「妖精を見つける」ということに答えを見つけています。
ただ、これは解釈による結末であることは確かなんです。主人公が求めていたのは「おじいさんが見つけた」妖精をみつけること。それがかなえられたとは言えてない。
そこで、最後のエンディングです。
ここで重要なのは「妖精をみつける」ことであって「妖精の謎を解く」ことではないんですね。
いままでのエンディングでは「これが妖精なんだ!」って能動的に解釈しているんですけど、最後のは「はい。妖精をじっさいに見つけましたよ」ってエンディングなんですね。そこに「なんで妖精がいるの?」という疑問はいらないんです。
なぜなら主人公が「妖精を見つける」ことが願いだからです。
これをもって作中のキャラクターの望みは(スティッチさんをのぞいて)叶うんですね。(スティッチさんも別の形では叶えているといえる。主人公が個別ヒロインルートで結論付けた「妖精」と同じくらいには、だけど)
この辺を注意してみると、この作品はじつに考えられていて面白かったですね。
やさしい世界に、永遠の祝福を
補足
「ARIA]もこのゲームも「未来」を描いているんですね。そういう意味で希望にあふれたゲームだと思います。それと、出てくるキャラクターの大半が「幸せな結末を用意してある」ことは注目。「なんでこの子を選べないんだっ」とかいうユーザーの願いはほとんどかなえられている(あるいは潰されているともいえる)。文句のつけどころが丁寧に処理されているのは確かなんですね。
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