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2010年3月26日 (金)

なんで君はそんなに信頼されるんだい?

この記事はもともと以前の記事『作品のレベルを高める要素(2)』のために用意した内容です。ただ前回の(1)からずいぶん間隔が空いてしまったことと昨日の記事との関連が見えたため独立した記事として改編しました。

作品のレベルを高める要素(1)→http://uzumoreta-nitijyou.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/1-f3d9.html

さて。とはいえアクセルワールド4巻の感想にはかかわってきます。だからここでアクセルワールドを知らない人用の解説を以下に用意しておきます。知ってる人は読まなくてもいいですよ。基本的にはwikiから引用しておくだけなので。

  • アクセル・ワールド』は、川原礫による日本のライトノベル。イラストはHIMAが担当。電撃文庫(アスキー・メディアワークス)より、2009年2月から刊行されている。
  • あらすじ:
    ニューロリンカーという携帯端末を用いることにより、生活の半分が仮想ネットワークで行われる近未来。
    太ったいじめられっ子ハルユキは、現実を呪いながら学内ローカルネットの片隅でスカッシュゲームのスコアを伸ばすだけの日々を送っていた。 そんなある日、ハルユキは美貌の上級生黒雪姫から謎めいた言葉を告げられる。
    「もっと先へ――『加速』したくはないか」
    黒雪姫の誘いに応じたハルユキは、有線直結通信で「ブレイン・バースト」というプログラムを受け取る。それは、ニューロリンカーの量子接続に作用して思考を一千倍に加速するという驚くべきアプリケーションだった。これを用いて仮想世界で自分の化身(アバター)を用いてデュエルをするものたちを「バーストリンカー」という。こうして「バーストリンカー」になったハルユキは、デュエルアバターを操り戦いに身を投じていく。(ぶっちゃけ、アバターを用いたレベル制の対戦格闘ゲーム(ドラゴンボールのゲームで似たのあったよね))。ちなみに「バーストリンカー」というゲームの(基本的な)最終目的は「敵を倒して経験値をかせぎレベル10に到達する」こと。

わたしはこの作品が好きなんですね。エンターテイメントとしての質も高いし、主人公が「太ったいじめられっ子」というところに可能性を感じているからです。(ラノベ・マンガの主人公は「平凡」が平凡ではないから幅が狭くなりがちという話題もしたいけど、いつか別の機会にします)。今回話題となる4巻は3巻からの続編となっています。以下は1~4巻までのネタばれを含んだあらすじ。(今回のはなしに関わる部分だけ凝縮します)

  • ここで重要なのは「バーストリンカー」の世界では「空を飛べる」アバターがいなかったということ。「バーストリンカー」世界を統べる7人の「王」たちですらそういう能力を有する者はいない。1巻の後半では主人公のアバターは世界で「唯一」の「空を飛べるアバター」であることが判明する。
  • 3・4巻では物語の根幹にかかわる心意システムというものが明かされるが今回は省略。物語の概要としては3巻で主人公に新たな敵が登場する。その敵(能美誠二)は主人公を卑劣なわなに陥れ、主人公から空を飛ぶ能力をうばってしまう。(敵の能力をドレインする能力を有している)。4巻ではその敵を新たに身に付けた心意システム等を用いて倒す。

概要としてはこれだけわかれば次のはなしについていけるでしょう。はい。あらすじ終了。

そこでわたしはこの作品が好きだけど気になる部分もある。それはこの作品の端々に「もしかしたらあなたならこの閉塞的な世界を変えられるかも知れない」という話題がでるところなんです。

記憶が確かならばこのセリフを言ったのはメインヒロインの黒姫が最初だったと思う。この世界のアバターというのは、キャラクターの心の傷の表れとして描かれます。たとえば物語キャラのチユという少女のアバターは「時間操作」(4巻ラストに明かされる。当初は回復能力者と思われてた)なんだけど、これは彼女の心に秘められた「昔にもどりたい」という願いの表出と見ることができます。

そこで主人公のアバターの持つ能力「飛行」というのも主人公のトラウマに根ざしているのね。つまり「能力」をしれば相手のこころがある程度、わかるということ。

それらを把握したヒロイン黒姫は主人公に言うわけなんです「君ならもしかして・・・」って。この話題は4巻でも繰り返されている。「飛行」能力を失った主人公をきたえてくれる人も「きみならば・・・」という話題を繰り返すんです。

そこが個人的にはここがよく分からないんです。理性的に整合性をつけようと思えばつけられるんだけど、納得がいかないんです。わたしなりの言い方をするならばそう言われる「必然性」が分からないんです。

おそらく物語の筋としては「(トラウマを抱えながらもまっすぐ前へ進む少年)かれならばもしかしてこの世界を変えられるのではないか?」という筋立てだと思うんです。

でもこれはそれほど特別なことではないと思うんですね。いじめられていたという経験とか、心折れてもう一度立ち上がるというイベントは確かに人を成長させると思います。

でもね。それが一つの世界を改編可能にする説得力とはなりえないと思うんですよ。

きつい言い方をするならば、彼がトラウマをのりこえていく行為そのものは「尊い」んだけど、それでも多かれ少なかれみんなが経験していくものの一つという見方もできるんですね。かれは「当たり前」の成長をしているだけと見えるんです。

これは「強い」人間の理屈で弱さを理解していないとかの各人の反発はもちろんあるとは思うんですけどね。で、その反応自体は正しいとは思います。「当たり前」の成長をすること自体は難しいんです。とくにこういう時代では。でもだからと言ってそれが「外部」を変えてしまう理由には直結していくかどうかというと疑問をさしはさみたいということ。

それならば「主人公」が「特別視」される理由はないじゃん!

ってそういうはなしをしたいんですよ。

で、次に出てくる可能性は「主人公が空を飛べるから」なんです。世界で唯一の飛行能力を有した主人公というまぎれもない「特別性」。

ただ。これにも「能美」というファクターを考えると反論可能なんです。

能美の能力は「他者の能力を自分のものにする」こと。これは出てくる登場キャラがかなり驚いていることを見ると、「バーストリンカー」世界で「唯一」の能力なんですね。

「じゃあなんで他のキャラは能美に、「お前ならばもしかして…」とか思わないんだよ!」って疑問が当然出てきます。

そうはいってもわたしも能美に可能性を感じているわけではないんですけどね(汗)

その理由に「能美が自分の格を下げていた」というのがあるんですね。ひとを陥れて(女子更衣室に監視カメラとかしかけて主人公を覗きの犯人に仕立てる)、踏みにじって(そのネタを脅しにして主人公を意のままにする)、高笑いする。これは明らかに「ダメ」だろうということですね。これには未来を感じさせない。

でも条件が同じならば別のだれかでも主人公を代替可能であることを否定はできません。

それこそ「時間操作」なんてトンデモ能力をもつチユが主人公の代わりに世界を変えてもおかしくないわけです。

だからね。この世界はある意味でチート世界なんですよ。ほんとうに「主人公に優しい世界」なんですね。同じことを成したなら称賛はすべて主人公のものなんです。

そう考えていくと前回の「残念」を語った記事と同じなんですね。

http://uzumoreta-nitijyou.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-846f.html

このアクセルワールドは明らかに、面白い。作品の質とかもじゅうぶんに、高い。

でも。それでも、「残念」という部分は出てしまうんですね。

主人公の主人公たる所以がでてくればさらにおもしろくなることが分かってしまうと残念に感じられてしまうんです。

前回の記事で、作品の質が高いとか低いとか「関係なく」残念なものは残念になるという例の一つとなると思うんです。

とはいえまだ未完の作品ですからね。さらに飛躍する可能性は十分にあるとは思うんですね。応援してます。

追記

能美が3・4巻で出てきたのは「特別でも志が低ければ未来を感じられない」という、主人公との対比で出た可能性はあるんですね。そうはいっても、チユの志が高ければ代替は可能なんですが・・・

アクセル・ワールド 1
どんなに時代が進んでも、この世から「いじめられっ子」は無くならない。デブな中学生・ハルユキもその一人だった。彼が唯一心を安らげる時間は、学内ローカルネットに設置されたスカッシュゲームをプレイしているときだけ。仮想の自分を使って“速さ”を競うその地味なゲームが、ハルユキは好きだった。季節は秋。相変わらずの日常を過ごしていたハルユキだが、校内一の美貌と気品を持つ少女“黒雪姫”との出会いによって、彼の人生は一変する。少女が転送してきた謎のソフトウェアを介し、ハルユキは“加速世界”の存在を知る。それは、中学内格差の最底辺である彼が、姫を護る騎士“バーストリンカー”となった瞬間だった。ウェブ上でカリスマ的人気を誇る作家が、ついに電撃大賞「大賞」受賞しデビュー!実力派が描く未来系青春エンタテイメント登場。
599円

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