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2010年1月 7日 (木)

私はずっとあなたに支えられていた―『花とゆめ』チムアポートレビュー

花とゆめが発売して2日になるので、そろそろチムアポートのレビューでもしてみようかと思います。(チムアポートを読んだ人は下の文をザーッと読み飛ばしてください。かなり下の方にレビューがあります)

舞台は戦争が絶えやまないある邦(くに)での世界。この邦には人間とチムア、という人間とは異なる生き物が暮らしている。人間はチムア=人間とは異なるものを、不思議な力が使えるということで迫害していた。この物語の主人公は2人、一人はポートというチムアの薬師、その姿はウサギの、愛らしい姿をしている。もう一人はジャバ・ウー。ザーザ村の戦士で、徴兵されて戦場にいる。ポートの親友であり、よき理解者。

今回の物語は、北の郡へ難民救済のため出兵されたジャバ・ウーが主人を失ったチムアのピノと出会うことから物語が始まる。幼いころから『力』が使えたピノは、ずっと迫害されていた。それを救ったのが、彼女の(名目上の)主人となるジニー・ウォン。ジニーはピノを我が子のように愛し、育てた。しかしその彼女もよる年並みに勝てず他界してしまう。そしてピノはまた一人ぼっちとなってしまい、迫害されてたところをジャバ・ウーに救われる。そしてピノをこのままにしておけないジャバ・ウーはピノをポートのいる村、ザーザ村に送り届ける決意をする。ただ一度しか使えない『恩賞』を用いて、ピノとジャバ・ウーのポートへの旅路が始まる。

大まかなあらすじはこんなところ。ジャバ・ウーとピノの旅には多くの困難が待ち構えている。「チムアはダメ」「チムアがいるからより多く払え」など、チムアというせいで旅の為に必要な物資が手に入らなかったりする。

そんな中、人間に憎しみを抱いているピノはジャバ・ウーとともに旅を続ける。そして徐々にジャバ・ウーを知っていく。

彼女はこの旅の中で大きな2つの出会いをする。一つはジャバ・ウーとの出会い。供にあるうち、チムアだから、人間だからという狭い垣根で相手をみないジャバ・ウーを大切に思うようになる。

もうひとつがポートとの出会い。しかし、このたびにおいて、ポートとピノが直接出会うのは最後だけである。ポートはピノのことを知らない、しかしピノはポートのことを知っている。ピノがポートを知るのは、ジャバ・ウーを守る『念』を感じ取ったときからだ。ジャバ・ウーはポートによりある石を持たされている。それはポートが『念』を込めた石で、ジャバ・ウーを守っている。この石の念をピノは何度となく感じ取る。ポートは石を通してジャバ・ウーに何度となく語りかける。「ジャバ・ウーくん、どぉしたの?」「だいじょおぶ?」と。

それらの思いをピノは感じ取り、その思いの清らかさをチムア特有のちからで知っていく。

そうして、ピノは徐々に、徐々に暖かな感情をとりもどしていく。

物語の終盤において、ピノとジャバ・ウーはオオカミに襲われる。そのオオカミはチムア同様に人間に迫害されていた者たちだった。憎しみのままにジャバ・ウーを襲おうとするオオカミたち。

そこにピノは炎を投げかけながら語りかける。「捕食者のあなたたちが獲物を捕まえて喰らうのは自然の摂理!!」「でも、憎しみだけでこの人を喰らうのはダメ!!」

「この人は、ダメ!!」

と。

そして、さらに語りかける。「私たちはここを通りたいだけだ」と。

そのとき、オオカミたちに『念』が伝わる。純粋で、キレイな念がオオカミたちに届く。それを感じてオオカミたちは去っていく。

ピノは涙を流しながらジャバ・ウーに伝える。「あなたを守っている『念』が純粋でキレイだからオオカミたちは受け入れてくれた」「あたしの『念』ではダメなの!あたしの念は汚れているから、一歩間違えると、彼らの憎しみと交わってしまう」

そして、胸の思いを吐露していく。「ちからを隠していけと、みんなは言う!しかし、あなたは歩くことを隠す?喋ることを隠す?私にとってはこれがふつうなのにっ!」「人間は、ちからを、魔術と言うっ」「人間の方がひどいのにっ!」

そしてちからを暴走させ、悲しみを振りまくピノを抱きしめながらジャバ・ウーは問いかける。「人間が嫌いか?」それにたいしてピノはそっと答える「そんな虚しい思い、とうに失せたわ」

それを聴いて、ジャバ・ウーは悟る。ピノの『念』は汚れているのではなく、「絶望」しているのだ、ということに。

同時期、ポートはピノの悲しみの念に当てられていた。吹き飛ばされ、痛い思いをしながらも、ポートは石の向こうの相手に念を送り続ける。

そして、ピノは、ジャバ・ウーとポートの念の2人に抱きしめられる。

全ての感情を吐露し、あるがままの思いになったピノ。彼女はそうなってはじめて、せかいの温かさを感じる。

このしばらくのち、ピノとジャバ・ウーは別れることとなる。ジャバ・ウーがピノを送り届けるために手に入れた時間は5日間。残る行程をわずかに残したまま期限切れになってしまう。

ジャバ・ウーは別れ際、自身の恩賞の章(しるし)をピノに渡す。大切なものではないかと戸惑うピノにジャバ・ウーは、この中のチップが、おまえが俺の元にいると証明してくれると告げる。つまり、恩賞が、ピノの身柄はジャバ・ウーのものであることを保証する旨を告げる。

だが、そうジャバ・ウーは言葉を続ける「だがお前は俺の物じゃ、ない」「一人のチムアだ」「これはお前を束縛するものではなく、おまえを守ってくれるものだ」

このとき、ピノはなぜポートと言うチムアがこれほどまでの強い思いをジャバ・ウーにこめるか理解する。

そしてジャバ・ウーをつよく、つよく抱きしめながらピノはジャバ・ウーに告げる

「ジャバ・ウーさん、しなないでね」

「それは、運命に任せる」柔らかく微笑みながらこたえるジャバ・ウー。

ときを同じくしてポートは、ジャバ・ウーの石に新たな「思い」が宿ったことを感じ取る。

赤く、鮮やかな思いを感じ取る。

そしてぽつりとつぶやく。「なんて崇高な、紫紺の気(aura)」

ピノは自身の呪縛を解く。「汚れた」『念』を自分で浄化していくこととなる。

具体的なことはじぶんで読んでもらえるとうれしい。

そして最後にピノはポートのところにたどり着く。

緑の美しさ、花のあでやかさ、リスのあたたかさ、自然の見事さを感じながらピノはポートの元へと向かう。

そして出会う、ピノとポート。誰だかわからないポートに飛びつきながらピノはポートに告げる

「わたしの名前はピノ」

「あなたは私を知らなくても」

「私は、ずっとあなたに支えられていた」

そしてラストページ。最後の一文は

今、ザーザ村には、二匹のチムアがいる

 

…アレ?気づいたら、本編の内容の多くをタイプしてしまってた。

まぁ、それでも本編の感動は伝えきれないんだけどね。できればマンガを読んでもらいたいな。羅川さんの新作がいつ出るかわからない以上、この話がいつ単行本化するかわからないしね。

で、ここで特に語りたかったことは「あなたは私を知らなくても」「私は、ずっとあなたに支えられていた」というセリフ。

このことばがホントに良くってね~。涙が出そうになっちゃう。

どうしてこれほど感動したかのか考えてみると、これはこの物語に限ったことではないんですね。

自分の身近なものを考えてみればそういうものはありふれているよねってはなし。

たとえば物語なんかもそうです。

「一冊の本が人生を変える」

よく聞くはなしだけど、多かれ少なかれ現実にある話です。

小説にせよ、自伝にせよ、評論にせよ、本の書き手はその本を読む多くの読み手のことを知りません。しかし、その人がそこで書いたこと、どこかで言ったこと、やったことに支えられている人はいるんです。

それは有名人に限った事ではありません。あなたが悲しい目に会った時、やさしい言葉をかけてくれた友人の言葉は、その人が、どこかで出会った言葉のリアレンジかもしれません。それは親の言葉だったり、友人の言葉だったり、もしかしたらテレビのバラエティ番組やドラマでみた言葉かもしれません。

同様に自分のいった何気ない一言が自分にめぐってきて、じぶんを助けてくれるかもしれない。

「あなたが知らなくても、わたしはあなたに支えられていた」という言葉は、そういうつながりを感じさせてくれる、とても素晴らしい言葉ですね。

そんな今日のはなし。

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