2020年9月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
フォト

ウェブページ

無料ブログはココログ

« 今日のツボ | トップページ | BLACK LAGOON 通し読みの感想(略) »

2009年11月 7日 (土)

ラノベに飽きを覚える件について

最近ライトノベルを読んでも以前ほど感動を覚えなくなったように思う。このことについて少し考えてみたいかと思う。

ちなみに以前この趣旨のことについて知り合いと話をした。その時の話題は「ラノベが以前より面白くなくなった」というテーマだった。その時は「慣れ」が原因ではないかという結論に至った。ラノベは以前と変わらずに”面白い“。もし面白くなく感じるならそれは一つ(ラノベ・本を読む)のことをやりすぎてしまった、つまり”慣れ”が原因だろうというのだ。それは確かに一理ある。そのことも踏まえて次の仮説を考えてみた。

仮説―ラノベが面白く感じられなくなった理由―

ライトノベル

まずラノベが面白くなく感じる理由に入る前に「ライトノベル」そのものについて考えてみたいと思う。現在ライトノベルというジャンルは多岐にわたっている。ライトノベルはその当初は今のように広範な範囲にわたってはいなかった。最初期にある「ライトノベル」の代表格は「スレイヤーズ」であろう(あくまで暫定的ではあるが)。かつて何度もアニメ化、マンガ化、映画化した作品である。その後電撃文庫や角川スニーカー文庫(スニーカー文庫はスレイヤーズより先にありました)が誕生し、「灼眼のシャナ」や「涼宮ハルヒ」をはじめとしたメディアミックスの怪物が生み出される。この記事はライトノベルの歴史をたどる目的で書かれていないので、細かいことについては別の本なり研究に譲ろう。とにかくそのような過程の果てライトノベルは拡大を続けてきた。現在では「ライトノベル」向けのレーベルで生み出されたわけではない作品も「ライトノベル」というカテゴリに組み込まれている。森博嗣などは講談社から作品を出しているが、「ラノベ作家」と分類されうる作家である(西尾維新はすでにラノベ作家といってもいいだろう、というかむしろそう考えてほしいそうだ)。またライトノベルレーベル出身の作家が純文学で作品を発表するなど、ライトノベルと一般小説の垣根は以前より薄くなっていると言えるのかもしれない。

とにかくここで言いたいのは、ライトノベルとはレーベルや作家で決まるものというより、読者が「そう」思うか否かに依拠している側面があるのだろうということである。

では何が読者にその作品を「ラノベ」だと感じさせるのか?これは様々な要素がからんでいるため一概にいうことは出来ない。ライトノベルをあまり読まない友人から「ライトノベルの定義を教えてくれ」といわれることがたまにある。しかしそれは難しいことではないかと思う。ライトノベルとは様々な要素に支えられた作品である。アニメ(マンガ)画、文体、キャラクターの”立ち”の強さ、メディアミックスの度合い、物語の“あり得なさ”(ファンタジー要素とも言えるかも)、あるいは購買層などもあるかもしれない。

ちょっと図は用意できてないので想像してもらいたい。上記にならって七角形(*1)である(うわ~、微妙な形)。そしてその各頂点はキャラクター、販売レーベル、画、物語の性質(形)、メディアミックス、読みやすさ、購買層などと分類されている。これらの項目をどの程度満たしているかでライトノベルの「度合い」が決まると考えてもらいたい。

そう。「ライトノベル」には明確な区切りはないと思ってもらってもいいかもしれない。どのような小説だとて「ライトノベル」と分類される要素を備えている。吉川栄治のキャラクターに「萌えた」ならそれは「ライトノベル」となる素養があると判断できるといってもいい。これはRPGの「レベル」と同じ概念である。レベル1の「ライトノベル」もあればレベル50の「ライトノベル」もある。これは「ミステリー小説」や「純文学」も同様に考えられる。それらの「度合い」の兼ね合いの結果各読者がその作品を「ライトノベル」「純文学」「ラノベ風のミステリー」「ミステリーを題材にしたラノベ」という風に分類する。

これが私の考えるライトノベルというものである。

「度合い」であるのでそれは偏りを持っているものもある。たとえば先述の西尾維新などはその代表であろう。彼の作品がラノベと認識される大きな要因にその「キャラクターの強さ」がある。現在では「化物語」がメディアミックスされているからその比率も変わったが、かつて講談社から本を出した当初の西尾維新は先ほどの七角形のグラフにおいて「キャラクター」欄のみが振りきれていた。その結果西尾維新の作品は「ライトノベル」として強く受け入れられた(まぁ、読みやすさや画、購買層などもずいぶん満たしているような気がするが)。

これらのことを理解してもらったうえで今度は上記項目の「読みやすさ」と「キャラクター」、そして「物語」に意識を絞って続きを書いていきたいと思う。

*1 ライトノベルの特徴を区分する際に細かい検証はしていない。そのためホントは八角形かもしれないし五角形かもしれない。あくまで私の思いつきで区分した。もしこの部分を厳密に検証するなら、複数の人間で「ライトノベル」の特徴をあぶり出す作業が必要ではないかと思う。

ライトノベル(2)-その変遷の一つ―

もうすこしこの部分について書く必要がある。ここでいうのは数行上の「読みやすさ」「キャラクター」「物語」に関する部分である。

さて、ライトノベルの一般文学などからの違いの最たるものは「キャラクター」にある場合が大きい。もちろんそれに該当しない作品もあるだろう(パッとは思い浮かばないが、思いついたら後に記述する)。しかし「ライトノベル」といえば「キャラクターの強さ」というのはやはり代表的な構図といえる。近年の「純文学のラノベ化」などもここを指して言っている場合が多い気がする(そこに意識的か無意識的なのかは分からないが)。

そこで思い至るのは「ライトノベル」≒「キャラクター文学」という図式である。この各文学界の垣根が薄くなった現在ではそれほど意識しないことかもしれないが、やはりライトノベルをライトノベルたらしめている重要要素は「キャラクター」であろう。それを表す言葉をラノベ作家新城カズマも示している。

「…物語とは(ほぼ)キャラクターであり、キャラクターとは(ほぼ)物語である」

(物語工学論 角川学芸出版 p168他より)

この言葉は上記の図式を端的に表している言葉といえる。

これは私の印象で申し訳ない(つまり調べてません)が、これは近年急速に増えてきた考え方ではないかと思う。ライトノベルが登場する前の時代の作品は「物語のためにキャラクターが存在する」ように作られていたのではないか(例外はあります)。作品のテーマを描くために舞台が選ばれ、登場人物が選ばれて物語が作られている印象を受ける。

石原千秋著の『読者はどこにいるのか』で面白いことが書いてあった。そこでは現代と昔の違いとして、「強度」が紹介されている。石原千秋氏曰く「三島由紀夫は本の中で分からない言葉が出たら辞書を引いて言葉の意味を確認してから本に立ち返るのが望ましいという趣旨の発言をしている」のに対し、現在ではそれは望むことのできないだろうという。たとえば「鹽」という字が小説内で出てもわざわざそれを辞書で調べてから読書に戻る読者は現代では少ないだろう。またポトスライムと言われてそれが観葉植物であることを知っているものはそう多くあるまい。そのため書き手の方はそのことを考慮して作品を作るようになる(強いられる)。前者の例なら普通に読めるように「ルビ」を振ったり、「塩」というように誰もが読めるような漢字を使うようになる。また後者では単に「ポトスライム」と書くのではなく「観葉植物のポトスライム」などと書くのが現代のスタンダードになりつつある。つまり昔のように「読者に分からない単語を調べさせる」ほどの「強度」は現在の文学にはない。「書き手」は「読み手」の「標準」を意識して物語を描くことが要求される時代になっている(*1)。

私はこのような変遷が純文学のライトノベル化等と呼ばれる現象の原因の一つなのではないかと考えている。

今でもそうだが、元々ライトノベルは若者向けの文学、すなわちティーンエイジ文学という使命を背負って育まれてきた。対象年齢は10代である。しかし10代といっても若者の一年というのは大きな差がある。12歳の少年に「禁色」を渡しても理解は難しいだろう。対して18歳なら多少なりとも作品の面白さを感じ取ることができる(あくまで一般論としてだが)。10代の青少年を対象とした文学である以上「ライトノベル」という文学は対象の標準を意識してカスタマイズされていったと考えることができる。

ここで物語の形が「文学」から「ライトノベル」に移行する一つの大きな節目があったのかもしれない。

続いて「読みやすさ」について簡単に述べていこう。最初に言っておくが、「読みやすい」=「文章が上手い」とは限らない(もちろん≒となるであろうことは否定しない)。それが何故かというと、「読みやすさ」を規定するのは「文章力」だけではないからだ。「物語のストーリー」「分量」など様々な要因がやはり絡んでくる。

ちょっと想像をしてみてほしい。「スレイヤーズ」「魔術師オーフェン」「BBB」「とある魔術の禁書目録」など長編とサイドストーリー(スレイヤーズでいうスペシャルのこと。もしくはSSなどとも表現する)の2つの支流がある作品のことを。多くの場合は長編は重くて長い作品で、サイドストーリーはギャグテイスト中心の短編の連なりとなっている。これらのうちでどちらが読みやすいだろうか。多くの場合はサイドストーリーの方に票が上がるだろうと思う。それはサイドストーリーが一つの大きなテーマを前提として物語が作られていることが少なく、短編ですぐ読め、馬鹿をやっている主人公たちを笑っていられるからだ。

そしてこの「読みやすさ」も「ライトノベル」は「軽く」した。そのような方法で持って読者層の「間口」を広げていった。

同様の理屈で持って「物語」もライトノベル風にカスタマイズされる。

すべては「読み手」を意識してのカスタマイズである。

ちょうどいいので先ほど挙げた新城カズマの言葉を思い出してほしい。

「…物語とは(ほぼ)キャラクターであり、キャラクターとは(ほぼ)物語である」

これもその「カスタマイズ」の一つの成果である。このような過程を経て今風の「ライトノベル」に近づいてきたのではないか。そのようなことを想像する。

また、この新城カズマのことば、すなわち「ライトノベル」≒「キャラクター文学」の図式をもう一度考えてみれば、「キャラクター」が「ライトノベル」のなかでどれほど重要な位置にいるか考えることができる。

ここで先ほどの七角形の「ライトノベル」の「度合い」表(仮)に補足を付け加えることとする。すなわちキャラクター、販売レーベル、画、物語の性質(形)、メディアミックス、読みやすさ、購買層の項目のうち「キャラクター」を赤字にしてもらいたいのです。以下に手書きの図を載せました。一応こんな感じであう。(スイマセン。下手です。誰か八角形や十二角形の分類を考えてほしい。するとコンピュータでも書きやすい…はず)。

Img058

なぜ色を変えるのかというと、「ライトノベル」における「キャラクター」の特別な位置づけを表すためのものです。

ちなみにこれが「ミステリー」なら「トリック」などのようになります。つまりそのジャンルを規定する際の中心的な「核」を赤字でひょうげんするということである(もちろんジャンルによっては複数あったり意見が分かれるものもあるだろう。今回はこのような形を前提としていこうと思う)。

ここまでで前半の記事とさせてもらいます。

…すみません。長いので2つに分けます。

次以降ではこのことを前提にしたうえでもう少し付け加えながら、なぜ最近ライトノベルが面白く感じなくなってきたのかという仮定の本題に入っていきたいと思います。

*1 もちろんどの時代でも「書き手」は「読み手」を意識している。しかし、近年にいたるまでは「書き手」は「書きたいもの」を思うがままに書くことがある程度許されていたように思う。それは基本的に情報の供給が「書物」や「口伝」のような形に頼っていたからではないかと思う。重要な情報を手に入れるためには「読み手」が積極的に本などの情報媒体を求めなければならない。そのため「必要な本は必要としている人のところにたどりつく」という意識が形成された。そのため書き手は読者を意識しなくてもよかった。現代では情報媒体が多数あるため本は「読んでもらう」ものであるが、昔は本とはその情報を手に入れるためには「読まなければならないもの」であった。そのような背景もあり本には「強度」が存在し、書き手も今のような形で読み手を意識しなくてもよかった。

物語工学論(入門篇) 本体価格 1,500円 (税込 1,575 円) 送料無料 在庫あり(1~2日以内に発送予定)

読者はどこにいるのか 本体価格 1,200円 (税込 1,260 円) 送料無料 在庫あり(1~2日以内に発送予定)

« 今日のツボ | トップページ | BLACK LAGOON 通し読みの感想(略) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

趣味」カテゴリの記事

コメント

>最初期にある「ライトノベル」の代表格は「スレイヤーズ」であろう(あくまで暫定的ではあるが)。
>かつて何度もアニメ化、マンガ化、映画化した作品である。
>その後電撃文庫や角川スニーカー文庫が誕生し、「灼眼のシャナ」や「涼宮ハルヒ」をはじめとしたメディアミックスの怪物が生み出される。

「スレイヤーズ」の1巻刊行よりスニーカー文庫創刊の方が先ですよ。

そうなんですか!?勉強不足でした。教えてくれてありがとうございます!
こんな感じで勉強不足も多々あるだろうと思うので、またおかしな所を見つけたら教えてください。
感謝します。

もう見ました、面白いですね

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ラノベに飽きを覚える件について:

« 今日のツボ | トップページ | BLACK LAGOON 通し読みの感想(略) »

カウンター

カテゴリー

楽天アニメ

楽天コミック

ブログパーツ

  • いいねボタン