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2009年10月14日 (水)

『ほうかご百物語 6』 読了の感想

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登場人物は増えたがそれでも代り映えのないほのぼの妖怪ラブコメ?も6巻と相成りました。ちょっとマンネリっぽくて読むのが辛いかな~と思うこともありますが、それでも読みます。物語自体が一定の水準を保っているために安心して読めます。ドキドキやハラハラは少ないけどの~んびり読めるという意味では良作です。

今回も学校の内外で妖怪の事件に巻き込まれては解決の繰り返しです。なんかちょっとした物語の進行はあったけど、それでも変わらない毎日を送る妖怪と人間の学園物語です。(というか、この作品は物語の生産性というか展開はほとんどないんだよな~。だから常にマンネリといえばマンネリで、そこを楽しめるかどうかが作品を肯定できるかどうかの瀬戸際なんでしょうね)

と、いうことで展開自体に語ることはないんですね。あえて言えば「登場キャラまた増えましたね~」「物語が新しい展開見せ始めたか!?」ぐらいで、それ以外は「変わらぬよさ」です。

それよりも気になったのは今回新登場のニコですね。ニコは若いながらも高名な画家で、われらが真一くんの画を気に入って弟子にしようという人です。

この人がどれほどユニークな人かは本編で確認してください。なかなかいいキャラしてます。それより気になったのは彼女のセリフの端々ですね。

「そうだよな~」と、はっ思わされるセリフが出てきます。個人的には今回の物語でもっとも注目なのはこの人です(イタチさんの可愛らしさやライカや赫音の素晴らしさはその次)。

例えば最初の登場シーンですね。真一くんの画の評価での一場面で次のようなことばを言います

「技術的には八十点です。ですけどねえ……筆使いはすごくいいです。そう、すごくいいです。構図にも自信があふれてますし、線には全然迷いがない。僕はこれが描きたいんだ文句ぁるかーって思いが、ごりごり伝わってきて……。私、踊っちゃいました」

うん。そうなんですよ。「僕はこれが描きたい文句あるかー」って思いは重要です。他者におもねるでなく、自分の描くと決めたものを迷いなく突き進む。それがクリエイターには必要なんだよな~って妙に納得してしまいましたよ。そうでなければ新しいものなんて生まれてこないし、鬱屈としたものが溜まってしまいます。もちろん、常に新しいものを指向する必要はないんですけどね(笑)

他の人が「新しいものをやれ」といっても、「まだおれにはここでやることがあるんだー」ってとどまり続ける。意図的に時代の流れに逆行する。そうして前時代の遺産を次につなげていく。これらは共通したものなんですよね。(それで頑固になりすぎて人の話を聞かないのも問題ですが…)

また次のようなセリフも目を引きます。これは実態のない相手(霧のようなもの)を描こうとしてもまるで形が見えてこないので、その形を描けない真一くんとの会話です。

「シンイチならわかってると思ったんですけどねえ。絵って、写真じゃないんですよ?奇麗だなあ、可愛いなあ、怖いなあ,凄いなあー。そんな風に自分の心に響いたイメージを、自分なりに補強して、自分好みにアレンジして、それで初めて絵は絵になるんです。違いますかあ?」

「それは―いいえ、違いません」

「はあい、よくできました。ですから、イメージを感じる心と、それを絵にする技術があれば―モデルに形があろうがなかろうが、全然、関係ないんですよねえ。えへへ」

はい。まさにそうです。そのようにして形のないイメージから形にする。そのような、本来なら途方もないと思える、作業をするからこそ絵描きなどは凄いのです。それはいわば夢を形にするような作業です。

このような内容を真一くんのこれからの課題を示すのと同時に表していることに感動しますよ。

しかも創作における技術の立ち位置も語っています。

たまに「一番大事なのは”思い”だ」というセリフを聞きます。この小説の冒頭でも言っています。

だけど技術がいらないわけではないんですよね。

前半のセリフの補強を後半でする。一貫性をもって作品がつくられています。

当たり前のことを言っているだけといえばそうなんです。でも物語を読んでいてニコのセリフだけ重みが違います。

もしかすると、ニコは作者の思いを代弁しているのかもしれませんね。この「絵描き」=「物書き」にしてしまえばそのまま小説作成の言葉と同じです。作者の思いをよく表すキャラがニコだったのかな、とそんな風に思います。

いや。楽しい小説でしたね。こういう楽しみ方ができるとは予想外でした。

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