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2009年8月15日 (土)

星守る犬 読了

Img050 どこにでもあるありふれた日常。もしかしたら将来の自分かもしれない。そんな感覚を読み手に与える作品でした。「おとうさん」と「ハッピー」の幸せな一人と一匹の旅。これは今の時代だからこそ多くの人間にセンシティブに感じられる物語です。傍から見れば明らかに幸せではないと思われる物語なのに、その視点を一人と一匹に移すとその様相が変わっていく。物語の開始から終わりまでまるで一篇の映画を見ているかのようでした。清水玲子のように美麗な絵ではないけど、その構図と実直な絵が組み合わさって妙に一体感を感じさせた。

でもなんでこんなに身に迫ってくる作品に感じられるのだろう?まぁ、私の予測を簡単に書いてみよう。

まず第一にこの時代がある。テレビを見れば必ずワーキングプアとか失業者とかの話題が耳に入ってくる。ホントに突然「日常がひっくり返る」ことがあるかもしれない。それを徐々に、しかし確実に迫ってくるように描いていたことにも要因がある気がする。

次に「おとうさん」という名前がある。わたしたちは「おとうさん」という具体的な固有名詞を持たない存在にいろいろなものを当てはめて読む。それは自分かもしれないし、自分のおとうさんかもしれない、または夫かもしれない。そこに自分の経験を投影することで自分で勝手に物語に現実感を与えてしまうように書かれている。じつに上手い物語だ。

第三に物語全体を支配する「浮世離れ」した感覚だ。これは前の要素と逆のようだが、そうではない。この浮世離れした感覚がこの作品を読みやすいものにしている。あまりに身に迫る(しかも自分の経験等を投影してしまった)作品では読んでいる読み手がつらくなってしまう。これはテレビなどで失業者特集や浮気特集をやっているときに、つい変えてしまったりしたことがあるものはわかりやすい感覚だと思う。日常に潜む何気ない「つらさ」を見続けるのは結構つらいものがある。自分と重なる部分が多いために「人ごと」に感じられないからだ(だからこそ多くの注目を浴びるという側面もある)。それを緩和しているのがこの「非現実感」だ。それを生み出しているのは先ほど言ったように「映画のような」構図だろうし。主人公が犬だったりすることがある。

また、最初にこの一人と一匹がどうなったかが示されていることも強い影響を与えている。未来を知ることは作中の登場人物はできない。しかし読者は未来を知れる。そうすることで作中に自己投影しながらどこか離れた場所で作品を眺めることが可能になる。私はこの作品を読むとき宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を思い出す。『銀河鉄道の夜』にはカンパネルラの死が最初の方で語られるバージョンがあったという話を聞いたことがある。もしこのバージョンで『銀河鉄道の夜』を読めばこの作品と同じような感覚を抱くように思う。

このような複合的要因などが複雑に絡み合ってこのような作品を形作っていたように思う。

追伸1

……あっ!後半の物語の言及忘れてた。気が向けば書く。

追伸2

一度物語の「結末」を描かれたあとに、「ハッピー」の視点を通して物語をもう一度「結末」に持っていく。そのようにしてこの物語は「再定義」されたのではないか?

といった内容の言及を書き忘れてたのでちょっと書いておく。

参考(記事書く前に読みました) 

参考記事(書いた後に読みました)

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